2024/12/15 16:26

〈ブランド〉ハンハルト
〈モデル〉417 ES
〈品番〉H721.210-7010
〈価格〉¥506,000(税込)
〈ムーブメント〉Sellita SW 510 M。手巻き。58時間パワーリザーブ。23石。28,800振動/時。
〈機能〉時、分、スモールセコンド、クロノグラフ(30分計)。
〈ケース〉ステンレススチール製。42mm径。13.3mm厚(風防込)、11.55mm厚(風防除く)。ラグ幅21mm。サファイアクリスタル製風防。スクリューソリッドバック。10気圧防水。
〈文字盤〉ブラック。旧ブランドロゴ。スーパールミノバ(針・インデックス)。
〈ベルト〉カーフレザー製(ブラック)。ステンレススチール製ピンバックル(ブラッシュ仕上げ)。BUND(背あて台座)付属。

開催中のハンハルト ポップアップストアから、同社の代表モデル417 ESのご紹介です。

1950年代後半、新設されたドイツ軍のために、ハンハルトが製造したパイロットクロノグラフが「417」です。
西ドイツ空・海軍に制式採用された417の製造数は1,000本に留まりましたが、その完成度の高さから、後年さまざまな国で開発されるパイロットウォッチの範となりました。
特に、ステンレススチール製のケースをもつ「417 ES(=ステンレススチールのドイツ語『Edelstahl』の略称)」は、俳優スティーブ・マックイーンが、プライベートやオフロードバイク耐久競技で愛用していたモデルとして有名です。

当モデルは、オリジナルの417 ESを忠実に復刻して登場し、モデル名もそのまま417 ESとなっています。
ケースサイズは42mm。のちに同じムーブメントで39mm径もラインナップに加わっています。

外装のクオリティは現代基準にアップデートされています。
ハンハルトの時計は仕上げのレベルが非常に高いと感じます。ケース側面などに施されるブラッシュ仕上げは、一方向への細い研磨がきめ細やかかつ均一で、深みを感じるものとなっており、

ラグのC面部分が印象的な、ポリッシュ仕上げの箇所は歪みなく美しい鏡面で、パイロットウォッチでありながらエレガントな表情も見せます。リューズやプッシュボタンも丁寧に研磨されており、周囲の映り込みでお分かりいただけると思います。
ブラッシュとポリッシュの境界も、ダレたところがなくシャープに仕上がっていて、洗練された印象になっており所有感が満たされます。

さらに優れているのはケースの薄さです。
Sellitaの手巻きクロノグラフムーブメントSW 510 Mを搭載し、裏蓋にはシースルーではなくソリッドバックを採用することで、ボリュームのあるドーム型風防を除いたケース厚は11.55mmを実現しています。
10気圧防水のクロノグラフとしては非常にスリムで、手首への座りもとても良好、装着感や袖口への収まりが抜群です。

オリジナルと同じく、両回転式のベゼルが装備されています。
表面にはコインエッジが施されており、滑り止めとして回転をサポートします。またこのコインエッジベゼルは417の重要なトレードマークでもあります。
417の鋭角で深い溝のコインエッジは、417以前、1940年代のパイロットウォッチのベゼル(細い溝が彫られていた)と比較して無骨な仕様でした。それが忠実に再現されています。

1.75mmもの厚みがある、ドーム型に成形された風防はサファイアクリスタル製で、オリジナルと比較して強度と透明度に優れています。
ただドーム型の分厚い風防デザインはオリジナルと同じ、角度によってダイアルがゆらゆらと歪んで見え、ミッドセンチュリーにタイムスリップするかのようです。

純正ストラップは頑丈なカーフ製のものが装備されています。
ピンバックルには、ダイアルと同じく旧ブランドロゴが刻印されています。
ストラップの裏材は、人工スエードの「アルカンターラ」が採用されています。近年自動車のシートに採用されているのを多く目にします。柔らかく肌触りが良いのが特徴です。
後述の背あて台座も同素材で、触れる面積が広い分アルカンターラの恩恵をより感じます。

付属のBUND(ブンド=背あて台座)もドイツのパイロットウォッチには欠かせないディテールです。
温度変化の激しい航空機コクピット内において、時計ケースの温度が手首に伝わらないよう使われ始めたといわれています。
時計本体が腕に触れないため、金属アレルギーの方にもお勧めのデザインです。
マックイーンも専らBUNDストラップで417を着用していたのが写真から見て取れます。
勿論取り外しも出来、ストラップのみで着用いただくことも可能です。

注射器型の針、中央から離れた2つ目クロノグラフ、旧フォントのアラビアインデックスなどはオリジナルそのもので、ドーム型風防も雰囲気抜群です。
他方、針とインデックスにたっぷり塗られたスーパールミノバやシャープな印字、外装研磨などは現代クオリティで美しく、満足感が高いモデルです。

前述の通り、裏蓋はソリッドバックのためムーブメント鑑賞は出来ませんが、その分ケース厚のスリム化に寄与しています。
搭載されたSellita SW 510 Mは、ETAの傑作クロノグラフ、バルジュー7750(自動巻き)の代替キャリバーとして開発されたSW500の横目バージョン、SW510を手巻きとしたムーブメントのため、原型機譲りの整備性の高さやトルク精度の安定において高い信頼性を誇っています。
また、パワーリザーブも58時間とバルジューより長くなっており、2日間以上の余裕をもった駆動が確保されているのも嬉しいポイントです。
SW 510 Mには、オリジナルにあったフライバック機能は搭載されていませんが、その分機械もシンプルで価格を抑えることにも成功しています。
ムーブメントが異なる、フライバック機能を搭載したモデル(パンダ・リバースパンダ文字盤)も展開されておりますので、お好みでお選びいただけます。

クロノグラフ針と分針の先は、オリジナルと同じく時刻が読み取りやすいよう針の先端を曲げ、文字盤に近づけています。
曲げ針は、曲げずにそのままの針と比べ当然ながらコストがかかりますが、手間のかかる本仕様を採用することで実用性も高くなり、オリジナルの雰囲気にもぐっと近づいています。

オリジナルと同じ旧ブランドロゴ。

マネキン腕周り17.5cm。
42mmは現代的なサイズ感です。39mm径も後日ご紹介いたします。
伝説のパイロットクロノグラフが、美しくよみがえりました。
会期中ぜひご覧ください。


店主 座間