2025/12/14 15:39

〈ブランド〉チュチマ・グラスヒュッテ
〈モデル〉パトリア
〈品番〉Ref.6612-05
〈価格〉¥1,397,000(税込)
〈ムーブメント〉手巻。Cal.Tutima 617。20石、毎時21,600振動、パワーリザーブ65時間。
〈ケース〉グレード5チタン製。41mm。サファイアクリスタル製風防。5気圧防水。
〈文字盤〉シルバーホワイト
〈ベルト〉シープスキン製ライトブラウンストラップ。チタン製ピンバックル。

今年、初代モデルから大幅な刷新が発表された『パトリア』。
3つのダイアルカラーの中から、シルバーホワイト文字盤の新型パトリアが入荷いたしました。

※上画像:初代パトリア
画像の比率が異なりますが初代モデルと。
主なリニューアルポイントは、ケース径が43mmから41mmに、ケース素材がSSからグレード5チタン製となり、ダイアルの仕上げが変更されました。ブランドロゴも特別なものとなっています。

流麗なリューズガードを備えたケースデザインは殆ど変わっていませんが、素材がチタンに変更されたことで一気に軽量化されました。
グレード5チタンのためポリッシングが可能で、数十年にわたりチタン素材を得意とするブランドの技術も相まって、SS製の初代モデルと遜色ない美しい鏡面仕上げがされています。

ケース径は41mmに小径化されました。待ち望んでいた方も多いのではないでしょうか。
人間工学に基づいたラグのカーブにより、腕への収まりも良好です。
(マネキン腕周り17.5cm)

ダイアル上のブランドロゴは現行のデザインではなく、チュチマ・グラスヒュッテの創業期にあたる、1920年代に使用していた歴史的なロゴ(「Tutima」の表記が未だ無い頃のもの)が特別に採用されています。

※上画像:初代パトリア
キャリバーは初代モデルから引き続き、完全自社製造のCal.Tutima 617を搭載。
直径31.6mmの大型の機械ですが、仕様変更されずに41mmのケースに収められています。これは喜ばしいポイントです。

グラスヒュッテ様式が詰め込まれた美しいムーブメントです。
パトリアのムーブメントは、一度目の組み立てで検証を行い、一旦完全に分解し、微調整や仕上げ等を施したうえで再び組み立ててケーシングし、さらに最終検査に合格したもののみが出荷される「二度組み」を行い製造されています。
グラスヒュッテ規格に準ずる高品質な時計が製造できますが、当然大変な手間と時間がかかるため、高級機でのみ可能なうえ、技術的に実践できるメーカーはごく僅かです。

手作業で曲げ加工されたブレゲ式巻上げヒゲンマイ、重りと4本の調整ネジ付きのフリースプラングテンプ、透かしテンプ受け...。

手作業による面取り仕上げと表面仕上げが施された3/4プレート、曲線が美しいコハゼ...。

そして3石のネジ留め式ゴールドシャトンと、グラスヒュッテ様式が満載です。

パワーリザーブは完全巻き上げで少なくとも65時間と長く、5気圧防水のため実用性も高いです。
6振動のロービートの音も楽しめます。

ケースのシリアルナンバーとは別に、ムーブメントにも個体番号が刻まれています(画像ではボカしています)。

素晴らしい機械です。

リューズガードで守られる大型のオニオン型リューズは操作しやすく、溝の仕上げも美しいです。
リューズ操作時の針のふらつきもなくドイツ時計らしい堅実な操作感でした。

最も目立つ初代からの外観の変更点は文字盤で、コールドエナメルを採用していた初代パトリアから一新され、文字盤にはピラミッドパターン装飾が施されています。
無反射コーティングされたサファイアクリスタル風防によって視認性も良好です。

針は初代から引き続き、ステンレススチール製です。職人の手作業により研磨され、側面には梨地加工が施されています。
ソリッドだった初代の針から、夜光入りに変更されました。長針と短針にホワイトのスーパールミノバが塗布され、暗所では青色に発光します。暗いシーンでの実用性が高まりました。

光と影に多大な影響を受ける、立体的なピラミッドパターンの文字盤と、繊細なレコード模様が刻まれた大型のスモールセコンドの組み合わせのダイアルは、光の角度によって様々な表情を楽しむことができます。

シルバーホワイトモデルには、シープスキン(羊革)製のストラップが装着されています。

ストラップカラーはライトブラウンで、マットな仕上がり。

装備されるピンバックルも勿論チタン製で、全体の軽量化に寄与しています。

シープスキンならではのしなやかさで軽量、質感も高く、よく似合っている純正ストラップだと感じます。

ライトブラウンと組み合わさり明るい印象です。
シルバーに近いホワイト文字盤な為、勿論その他様々な素材、カラーのストラップも似合うと思います。

SSと比してグレード5チタンのポリッシング難度を考えると、驚異的なポリッシュ仕上げの美しさです。

ケースは曲線が多用され柔らかな印象です。懐中時計のようなクラシカルさ感じます。

いつまでも鑑賞していられる機械です。ぜひ実機をご覧ください。

シンプル・クラシカルな手巻き実用時計の最高峰です。


店主 座間